魑魅魍魎の菊


先程自分で自分の左腕を切ったので、余計に出血量が半端無い。

熱い血が流れ、《神の生気》が流れ込まれる。無理矢理に入れられて頭の中がチカチカとする。
絶頂を超えるような感覚に襲われて口の端から唾液が流れてしまうのだ。



「主——!!!!おのれ——子狐の分際で!!」



その瞬間蛇帯が鏡子を離し、白に襲いかかってしまった。

(馬鹿!!何、付喪神を放すのよ?!)


だが、声にならなかった。蛇帯のゆらゆらとした動きが仇になったのか狐の尻尾により炎の中に放り込まれてしまうのだった!


「じゃ、蛇帯———!!!!!」



「熱い、熱い熱い熱い熱い助けて、助けて助けて——!!ぐあぁぁぁ、消えたくない消えたくない!!!」



炎の中でゆらゆらと燃える蛇、綺麗な模様が徐々に黒く焼けこげていっている。




(魍魎の力、解き放て——!!!!)

一心不乱に菊花は右手で陣を切り、水を呼び寄せるのだが一向にやって来ない。


「何故?!何故、水が!!!!」





左手の血液がアスファルトに血溜まりを作るのだ。粘り気のある鉄臭い空間。
ほら…これが戦場なのよ。











「バーカ。——ここのテリトリーは俺んのだ」


首筋にカチャリという音がし、ひんやりとした空気に襲われたのだ。




(——終ワッタ、)


 
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