魑魅魍魎の菊
02.いや、互いに管轄外なんで。

現代の魑魅魍魎の主事情





菊花は円満の笑顔でこう告げた"だけ"だった。




「ちょっと聞いてよー植木君。私さ、正義の味方と戦ってこんな名誉の負傷しちゃったよー」



ヘラリと笑って右手でピースサインをすれば。



「何が"名誉の負傷"だバカヤロー!!!どんな過酷な戦いだったんだよ?!」

「つーかツッコムのそこかよ植ちゃん?!まずその中二病発言からだろ!」



いやいやいや、本当に名誉の負傷だしね。現在の菊花の現状は首にガーゼ、左頬は湿布、左腕は肩から包帯グルグル巻きにして三角巾で吊るしている状態だ。


(まあ…下手に言い訳するよりストレートに行こうじゃないか)

変化球を投げれない高村菊花女史であった。



「いやーなんて言うの?運命のルーレット回し過ぎちゃって、これアレだよデスティニーだよデスティニー」

「「何の?!」」



現在はまだ授業前であり、登校してきた友人達をまず驚かしたのは菊花の姿だったのだ。彼女は普通の生徒でそんな危ないことをするようには見ないから驚きは倍増だ。



植木は溜め息をつきながら、自身の荷物を置きまたもや菊花にロリポップを差し出した。

「…ほら、やるよ。何か見舞い的な感じ」

「そんな哀愁を帯びた目で見られるとマジで辛いんですけど…」

「じゃあ高村、俺はお前にジュース奢ってやるから…」

「いや、だからそんな哀愁を…」」



まあ、とにかくだ。二人共元気そうで嬉しかった。

昨日はあんなショッキングな出来事があったんだ。だからこそ嬉しいんだよ。我が友人である「栄子」はどうやら今日は風邪で休みらしい。


…安否は気になるが、あれは所詮幻術。栄子は無事だろうな。



そんなことをぼんやり考えていると担任がやって来て、私の姿を見るなり哀愁を帯びた目で「なんかよく知らないが頑張ったんだな、高村」と言われた。


いや、アンタは私の何を知ってるんだよ。と突っ込まなかっただけ自分は偉いと思う。


 
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