☆★心風★☆
「架村だけ記録書いてないんだ。頼むよ」



「え…ちょっと待ってください!なんで俺なんですか?俺、架村との接点何もないですよ」



俺はなぜかその時、嬉しいような、あせるような感情にとらわれた。



架村と話すと胸の奥がカァと熱くなって、何話していいかわからなくなるくらいに頭が真っ白になる。



たった1人の女の子に気持ちが左右されるなんて………



俺、情けねえ。



でも、渡さないと。



でも…でもでも…………



ど、どどどうしよう……



やっぱ無理だっつーの。



「…お前が……渡すんだ」



先生は、俺の質問には答えず、意味深な口調でそう言ったあと、職員室に戻っていった。

< 29 / 308 >

この作品をシェア

pagetop