夏恋つづり
「なあ、ここって確か怖い犬いなかった?」
次に絋が足を止めたのは、煙突のあるレンガ造りの家。
「あ、いたね。よく吠える犬…。」
小さい頃は、ここ通る度に吠えられて、本当に怖かったんだよなあ…。
「俺、一度噛まれたことあるよ。遊ぼうと思って手伸ばしたら噛まれた…。あの時は莎矢にも泣いてる顔見られたんだよな。」
「6歳の頃でしょ?そりゃ誰だって泣くよ。」
「そんなことねぇよ。カッコ悪かったよな、俺…。」
絋は苦笑いする。