巡る巡る
「……だからなんだよ。」
俺が顔をしかめて言うと、孝太は得意気に教科書を裏返した。
「!!」
そこには、小さな字で書かれた『相沢未来』の文字。
「どーだい、どーだい。イイもんゲットしたろ俺。
今後俺のことは神もしくはイケメン孝太様と呼ぶがいい。」
「……お前、どーしたんだよ、コレ…」
孝太のバカ話は無視して、
俺は目の前の教科書を凝視する。
「あ!言っとくけど盗ってないからな!
たまたま移動授業だった時に、未来チャンが忘れてったの見つけたんだよ!」
そういえば、昨日の数学は移動教室だったな。