刹那の憂い(セツナのウレい)
コケそうになる。

一体、このヒトは、ここに、何しに来たんだ?

うちが不動産屋に見えたのか?

「空いてるよ。

確か下の階にひとつ、空室あったと思う」


友行が答えた。


「そうなんだ。

良さげだなって思って」

言って、ちょっと黙った。

それから、あたしの方を見て、

「ご近所さんに、なってもいいかな」

そう、言った。


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