とおりゃんせ2~日村令子の場合~
「わたし・・・この置物・・時々見に来てもいいですか?
売り物だったら一生懸命お金を貯めて買いにくるけど・・・
売り物でないのなら 見に来てもいいですか?」
由里は高校生の分際で子供を堕ろした自分を 本当は軽蔑しているだろうと思ってはいたが どこかで・・・金子の優しい微笑みを期待した
しかし金子は 微笑むことはせず 黙って目の前の澄んだ聖母の置物を手に取った
『バカなコト・・・言っちゃった・・・』
由里はすぐに自分の言った事を後悔した
が その後の金子の態度は由里の考えとは逆の態度だった
「じゃあ・・・コレ・・・キミにあげるよ」
『えっ?!!』
由里が戸惑っていると 金子は由里の行き場をなくした手をサッと取り スッと赤ん坊を抱いた聖母のクリスタルを由里に握らせた
「!!・・・でも・・・・」
由里がそう言うと 金子は首を横にゆっくりと振った
「いいんだ・・・ いいよね母さん」
階段の途中に居たままの老婆を振り返り 金子はそう言った
「あんたの好きにおし」
金子の母親はそう言うと 再び2Fに上っていった
「本当に・・・いいんですか・・・?」
由里は金子の小さな目を覗き込んだ