とおりゃんせ2~日村令子の場合~


「ただいま」



家へ戻ると早速由里の母親がスリッパの音をせわしく立てながら 玄関まで走ってきた



「もう・・ほんとに!あなたって子は・・・心配したじゃない!・・・まぁ・・良かったわ・・無事で・・・」


由里の母親は半分泣きそうな顔になりながらも あまり多くは小言を言わなかった


「うん ごめんね でも…行かせてもらって良かった・・・会ってきたんだ!私を助けてくれたもう1人の人に・・・お礼言ってきた!スッキリした!」



「そうだったの・・・それだったらお母さんにも言ってくれればよかったのに・・・」



由里の母親は 娘の出かけた理由が正当なモノでホッとした様子だった



「うん…でも…こんなに早く見つかるとは思わなかったから・・・ゴメン・・私・・やっぱり疲れたから 部屋で少し寝るね!」



「そう 分かったわ じゃぁ夕飯が出来たら起こすわね」



「うん お願い!」



そう言い終えて 母親にニコッと笑うと母親もニコッと返してきた

母親の笑顔を確認すると 由里は2Fへ急いだ


部屋に入ると 由里は早速 金子に包んでもらった置物を包みから出した

クリスタルの置物は 由里の机の上で最も良いポジションに置かれた

部屋の窓からうっすらと差し込む光を浴びて 子供を抱いた聖母は一層美しく輝いて見えた



「ぜったい・・・忘れないからね・・・」



由里は うっすらと微笑む聖母とおだやかな表情の赤ん坊の彫刻を見つめながらそう呟き ベッドに横たわった

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