第七世界
「暇?暇だよね?だって、地面で突っ伏してるほど時間があるもんね」

「俺は好きで地面とキスをしてるわけじゃねえんだよ。そこの、NHKに出てくるようなちびっ子に、ごああ!」

ちびっ子に無言で背骨を踏みつけられる。

「人が好意でだまっとったら、何調子こいてんねん」

「誰も黙れとは言ってないだろうが!っつうか、会話の輪に入って来れないお前が悪い!シャイで可愛い自分をアピールしてるつもりか!」

「何いってんねん!優しさで二人の会話の邪魔せんとこうと思っただけや」

「あ、刹那ちゃんも来てよ」

「どこに?」

「喫茶店」

「佳那美がバイトしてるんか?」

「うん。何より、マイウーな料理が待ってるよ」

「お前、恥ずかしげもなくマイウーなんて言えるな」

俺は立ち上がりながら、カッターシャツについた砂を払う。

「恭耶、行くで」

ミスター〇っ子のように、瞳の中に炎が宿っている。

「は、はあ?」

「色んな味を食す事により、料理の腕もアップや!」

「お前、意気込んでたのは最初の頃だけじゃねえかよ。最近は稀にしか料理作ってねえんだろう」

最近は俺が作っており、刹那はTVを見て笑っているだけだ。

「恭耶、ボクの料理の腕が上がって、嬉しくないんか!?」

「分かった分かった。でも、俺の財布が傷む事はないよな。お前が自分で食べた分の支払いを行うんだよな?」

「そんなん当たり前やろ!」

刹那が俺のポケット付近を見ているのは何故か。

「ああ、たった今、分かりきったオチを用意しているのは分かった。って、佳那美、どうした?」

「ふ、二人は同棲してるの?」

面倒くさそうな事になりそうな予感がしたのは気のせいであってほしい。
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