第七世界
「残念だよ」

牙狼も立ち上がる。

「玄魔、乃亜」

楓が俺の襟首を持ち外へと障子を破り引っ張り出す。

庭に出るのと同時に俺は池の中に投げられた。

「おい！池の水なんかで気分はよくならねえよ！」

逆にさらに気分が悪くなってくる。

「君にとっては泥水のほうが治療に向いている」

「いや、病気になるだろ」

相手側の三人が廊下の上で立っていた。

「穏便に済ませたかったのだがね」

「穏便だ？ふざけんじゃねえ、最初から楓に向こうの生活を押し付けるつもりだったんじゃねえか」

「私たちは隠匿されるべき存在だ。大きく出るにはまだ時間がかかる」

玄魔と乃亜が動き出した。

相手の行動を読める楓に吸血鬼だろうと負ける要素は少ない。

玄魔が拳を振るい、それを後方に飛んで避ける。

しかし、背後には乃亜の姿があり、楓が地についたところで足払いを行おうとする。

バック転で転ぶのを回避しようとしたが、すでに玄魔が楓の元にいる。

玄魔が肘鉄をあてにいくが、それを受け止めながら楓は玄魔の腕に関節技を決めて、瞬時に飛びのいた。

「まったく、君にはもっと働いて欲しいものだな」

肩で息をしながら、髪をかきあげる。

いつものようなだるそうな瞳ではなく、先を睨んでいる。
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