第七世界
自分の故郷に足を着けたのは、20時だった。

最初に佳奈子さんがサバイバーの前で降り、続いて俺と刹那が自分の家の前で降ろされる。

「私に負けじと学校には来るんだぞ」

「百歩譲ったとしても、楓が言う台詞じゃねえだろ」

本来ならば、訴えてもいいくらいの仕打ちだぞ。

俺の親がモンペならば、何度となく退職させられてることだろうな。

「恭耶君、刹那ちゃん、安静にするんだよー」

窓を開けて、ティーナさんが注意する。

「大丈夫大丈夫、今日はさすがに疲れたからな」

「そっかー、じゃあ、ゆっくり休んでねー」

ティーナさんを乗せた車は去っていく。

俺は背を伸ばし、帰ってきたことを実感した。

「はあ、恭耶のおかげでとんだ日になったわ」

巻き込んだのは俺だからこそ、言っていることは正しい。

しかし、ここで大人しくしているのも癪だ。

「いいじゃねえか、大怪我した者同士よ」

「ボクの乙女の柔肌と恭耶のゴリ肌と一緒にせんといて欲しいんやけど」

ゴリ肌とはひどい言われようだ。

斜め上というか一週回ったボキャブラリーで、疲れを増大させられる。

「どう責任とってくれるん?」

なんにせよ、刹那に迷惑をかけたからこそ何かしてやらないと、相当根にもたれるのは間違いないだろうな。

「仕方ねえな、学校の後でメロディーちゃんの新作ぬいぐるみでも贈呈してやらあよ」

何気にメロディーちゃん情報には詳しいのだ。

だが、これ以上増やされても困るんだがな。

「ほんまか?その場しのぎちゃうか?」

「お前、メロディーちゃんになると目が本気すぎるぞ」

「メロディーちゃんに誓ってウソじゃないといえるやろうな?」

「わあったわあった」

メロディーちゃんに何を誓えというのかは分からないが、出費がかさむことだけは分かった。
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