そこから先は
         *



目が覚めると、相変わらず暗闇ではあるが、自分の上に何かが乗っかっていることに気がついた。



「布団掛けてくれたんだね。ありがと」



あたしはこの部屋のどこかにいるはずの男に向かって声をかけた。



ここにいると、なんだか素直になれる気がする…



「いや」



男は短く答えた。



いつもの時間になっても、男が家を出ていく気配がない。



そうか。



今日は日曜日だ。



きっと会社が休みなんだな。



「お前の家に電話を掛けた」



男が突然言ったので、あたしは少し驚いた。



「なんで?」



答えはわかっているのに聞いてしまう。



「3000万用意しろって」


「うちにそんな金はねぇよ…」


わかってはいたけど…



やっぱりこれは誘拐なんだ…
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