Tactic
家の中に入ったが、突っ立ったまま。

外からは、遠さがっていく靴音がきこえ、俺の鼓膜を塞いでいた。


脱力感が襲い、その場にうずくまると、俺はさっきトーコに振り払われた手を見つめた。


俺のこと、汚いって……思ったに違いない。


だから、トーコは俺の手を振り払った。


リエさんの言葉、あれはトーコの口から言ってほしかった言葉だった。


嘘でもいいから、【綺麗だ】って……【汚くないよ】って……お前に言ってほしかっただけなのに。


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