Tactic
第5話 傍ら

side智也

クリスマスイブ。

時計の針の音だけが、静かに奏でられていた。

リビングにある大きなソファーに座る俺は、黙ったままテーブルの上に置かれた料理を見つめていた。

「智也、ケーキ買っておいたから。料理と一緒にトーコちゃんが来たら食べなさい」


「え?あぁ、うん。……って、なんでトーコ来ること知ってんだよっ?」

母親の言葉に、俺は焦る。

親には話してなかった。

兄貴がいないことを知っているトーコがまさか約束通り家に来ることなんてない。

そう思ってたからだ。


「允也に聞いたのよ。トーコちゃんと一緒に、クリスマス過ごすんでしょ?」

母さんは、俺の言葉を聞くまでもなく話を続ける。

「お母さん、これから仕事帰りのお父さんと待ち合わせてご飯食べに行くから」


思わず、ソファーから立ち上がり驚いた表情で母さんに勢いよく言葉を投げつけた。
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