私の好きな人


「やっと話してくれると思ったんですけど…」

「え?」


仲原さんは私の方を見ないで、遠くを見ながら話しはじめた。


「このごろ、佐藤さん辛そうだから。営業の皆心配しているんですよ。」


「………」


「迷惑かけてるって思ってるんでしょ?」


ここで、はじめて仲原さんは私の目を見た。
何も言えなかった。「はい。」って言えば楽なのかもしれないけど、言えない。




< 68 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop