【完】恋の欠片―ユアン編―㊤
私は空港の中に入り、雪兎!と叫んだ。



でも空港の中は広く、飛行機に乗る寸前の雪兎は当然いるはずもなく、歩いている人たちにチラチラと見られた。



「…っつ…。なんで…」



はっ。こんなとこで泣いちゃ駄目よ!



こんなとこで泣いたら…。


でも、心とは反対に、身体は正直…。



涙が溢れ、あっという間に涙で顔がぐちゃぐちゃになってしまった。



雪兎は私とは会いたくないんだよね…。



だったらここに来る必要なんて、最初からなかったのかもしれない。



たとえ間に合ってても、同じこと。



雪兎が私に会いたくないという気持ちは、変わらない。

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