ショート シチュエーション{ Lovers Season }

Scene.2(彼の日溜まり)




私の我が侭が発端で
かれこれ一時間は
口をきいていない‥


素直に謝ろうか‥


コーヒーカップから漂う
甘いモカの薫り…


彼にも淹れてあげようか…


突然、彼が提案を持ち掛ける‥


本当は素直になりたい‥


彼と二人、訪れた海辺は
海風が心地よく、

胸いっぱいに吸い込む
潮の香りは私を遠い

水平線の向こうへと
運んでくれる‥


少し困り顔の彼を見ていると


もう少し‥


困らせたい気持ちになる‥


私の悪いクセ‥


はしゃぐ彼の姿に
わざとスネてみせる‥


困惑する彼‥


いきなり怒鳴る‥


優しさにいつも
甘えてしまう‥


そんな自分が
どうしようも無くて、
自然と涙が溢れて来る‥


謝らないで‥


包み込む温もり‥


この温もりを求めているの
かも知れない‥


いつも‥


日溜まりにも似た
この温もりを待っている‥


これまでも‥


これからも‥





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