愛しいキミへ
「ひまわりが欲しい?」
店員さんはゆっくりと言った。
あたしが変な事を言ったとでも言いたいように。
ひまわり欲しいって変かな…
とあたしが少しだけ思ってしまったことは内緒。
「そっそうです。いけませんか?」
喧嘩腰になってしまったと言ってから気づく。
くくっ、と笑い声が聞こえた。
「なっ」
見ると店員さんがおかしそうに顔を歪めながらお腹を抱えている。
「あぁ、ひまわりですよね。分かりました」
いかにも馬鹿にしたような口調で言って奥へ行ってしまった。
あれ…?
ここにあるひまわりじゃいけないの…?
少しすると店員さんが小さめの鉢を持って戻ってきた。
「え…?あたし、花束お願いしたいんですけど、」
「お前、ひまわりが花束に向かない事くらい分かれよ。女のくせに…」
眉間にしわをよせてそう口にした。
全く、人をどれだけ馬鹿にすれば気が済むんだよ!!
「たまたま忘れてたんです!その鉢下さい」
お財布を出しながら言ってやった。
「はいはい。値段は2000円です」
値段を聞いてお財布を開く手が止まる。
「そんなにするの…!!」
小声で言ったつもりだったけどどうやら彼には聞こえたらしい。
「あー君中学生だよね?まだそんなにお金持ってないんだ?」
聞くからに同情を含んだ声にそう言われて無性に腹が立った。
何で見知らぬ店員にここまで言われなくちゃいけないの!!
彼にとってあたしはお客なんだから、こっちからこんな店願い下げをして出てけばいいんだろうけど、それはあたしのプライドが邪魔をした。
ここまで馬鹿にされて黙っとくのは弱虫がやること!!
「あなたもじゃないんですか?だってあたしと同じくらいですよね?身長」
この年頃の人が身長とかそう言うのを気にするのはクラスの男子を見てればわかる。
「あんたがでかいんでしょ。俺は高校生です。そんで結構金持ってます、バイトしてるんで」