終わりから始まる恋

「うおおおおおおお!!えりなあ!!!えりなぁあ!!!!!」


低く唸り、声をあげるお父さん。
いつもえばっていたお父さんの目には、じわりじわりと涙が浮かぶ。

お父さん。
私ここにいるよ、泣かないで。

私はお父さんに近づき、地面へ泣き崩れるお父さんの背中に触れる。
いや、触れようとした。

スカッ。
手応えがない。
まるで空気でもさわったかのような感覚に、あらためて私は理解した。

あぁ、私死んじゃったんだ。
だからお父さんに触れないんだ。

少し悲しかった。
わんわん泣くお父さんの背中を、「泣き虫(笑)」っていいながら撫でようとおもったのに、死んだ私にはそれができない。
そんな私の代わりに、お母さんは砂を握りしめて泣くお父さんの肩を優しく抱き締めた。
その目には、涙。

お父さんとお母さんは、肩を抱き合いわんわん泣いた。

周りにいた消防士のひとや野次馬が、可哀想だと同情の眼差しを二人に向ける。
誰も私を見てくれない。
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