セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―
「ハル…苦しいよ」


私はハルの胸を
押すようにしたけど


「我慢してよ

目を開けないから
死んだかと思って
すごく心配した

…すごく愛しいんだ」



離してくれない



だけど
これが…



抱き締めてくれるのは



きっと


最初で…最後



私の胸は熱くなる



この想いは
伝えない



だけど
ハルは私の
大好きなヒト



私は無言で
ハルの背中に手をまわす




女の子がふたり
砂浜で抱き締めあう



「…俺達 今
レズビアンだね」


ハルはくすりと笑う




あたりは夕日が沈み
暗くなって



私達の姿を隠すから



スカートをまくりあげて海で遊んで



今日という日を
ふたりの
思い出にしよう




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