セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―
それからも
彼は見つからなかった


「もう見つからないのかな…」


夕日の差す教室に
私の他は誰もいない


窓からは

部活動にいそしむ
男子の勇ましい声


吹奏楽部の
パーカッションのリズムの後に一斉に鳴る
チューニングの音


「…真面目なやつら」



嫌いじゃないけどね


グラウンドでは
サッカー部と
野球部が


場所を分けあって
練習をしている


「あれ…」


あの背番号4の
黒髪


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