Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜


「お兄ちゃん良かったね」


「あぁ、麻里ありがとな」


奇跡的に回復が早く三日後にはICUから一般病棟に移された。


あたしはずっとお兄ちゃんに付き添い家には帰らなかった。


「お兄ちゃんお願いだからヤクザなんて辞めてよ、あたしお兄ちゃん死んだら生きてい…」


お兄ちゃんが極道だと知ってからいつか、こんな日がくるんじゃないかと心配していた。


でもお兄ちゃんの任侠道に対する熱い思いを知って”お兄ちゃんなら大丈夫”と思っていた。


でも、目の前で生死をさ迷う、お兄ちゃんを見てもう限界だった。


たった一人しかいないお兄ちゃんまで奪われたら本当に生きるのを止めるだろう。


でも、そんなあたしの気持ちとは逆にお兄ちゃんは凛とした態度で答えた。


「お兄ちゃんには組を守る義務があるんだ。やられたから尻尾巻いて逃げる訳にはいかないんだよ。俺を信じてついてきてくれてる若い衆も沢山いる。お兄ちゃんは何千人もの命を預かっているんだぞ。分かってくれ」


「そんなの間違ってるよ!あたしの事はどうでもいいの?お兄ちゃんが死んだらあたしは一人ぼっちなんだよ」


「麻里、お前には山崎家の両親がいるだろう、これから嫁に行って家族も出来るんだ。一人ぼっちなんかじゃない」


お兄ちゃんの大バカ!!


”ずっと一緒にいような”って言ったくせに。


何が嫁に行って家族が出来るよ。あたしから開放されたいだけじゃん。


悔し涙を堪えながら荒々しく椅子を片付けお兄ちゃんに”大嫌い”と吐き出し病室を出た。


お兄ちゃんが呼び止める声が背後から聞こえたがそれを遮るかのように扉の閉まる大きな音が響いた。




極道で生きるなら好きにすればいい…。


サヨナラしてあげるから…。


病院の庭ではピエロが病気と闘う子供達に風船をプレゼントしていた。


子供達のはしゃぐ姿を見ているとピエロがあたしに近付き真っ赤な風船を何も言わずに差し出した。


きっとこのピエロにもあたしが何かと闘っているのだと感じたのだろう…。


この風船と一緒に誰も知らない街まで飛んでいきたかった。












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