Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜


「姉さん…これ…親分のチャカ入れから出てきました」


一也さんが持ってきたのはお菓子の箱に見せかけた茶色い拳銃入れだった。


開けてみると施設で過ごしたあたしと颯斗の写真が沢山詰まっていた。


これ……


写真の奥に挟まっていたのは、いつか掘り出したタイムカプセルのメモ用紙――。


「親分…姉さんの事を本当に愛していました。四六時中姉さんの自慢話でしたしね。”俺は生涯極道で生涯麻里を愛す”と言ってました」


一也さんが颯斗の位牌に手を合わせる。


「颯斗どうして極道になったのかな…?前に聞いた時、篤さんとの縁で会長さんに惚れてこの世界に入ったって言ってたの。でも…本当の理由があるんじゃないかなぁって思ってね…」


「多分ですけど…家族という組織に憧れていたんですよ」


「家族……?」


「はい…。両親に一度は棄てられ愛情を知らない親分は極道の世界の”家族”に憧れていたんですよ。この世界の家族は血より濃い絆があります。親父がいて兄貴がいて弟”いて……。裏切ることは許されません。だから親父を殺したケジメを付けたかったんでしょうね…」



家族……。


あたしは元気に動き回る お腹の赤ちゃんに手を当てた。


あなた達のパパは世界一家族思いだったんだよ…。


きっと分かってくれるよね……。











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