Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜


「莉奈おめでとう!よく頑張ったね」


「うん、ありがとう」


莉奈は可愛い男の子を出産した。


名前は勇気のある大きな男になるようにと篤さんが勇大(ユウダイ)と命名した。


「麻里もいよいよじゃん。出産って死ぬ程痛いわよ!しかも双子ちゃんだから痛みも二倍ね」


「もう脅かさないでよ」


林檎の皮をむく手が止まる―。


「でもね、赤ちゃんの産声聞いて顔を見た時、痛みなんか忘れちゃうのよね。こんな小さな手であたしを掴んで離さないんだもの。出産って女の特権よね」


出産を終えた莉奈の顔は優しい母親の顔になっていた。


小さなベッドでスヤスヤと眠る勇大に目を細める―。


「あんな母親でも、あたしを産んだこの時だけはこんな気持ちだったのかな…」


「きっと、莉奈と同じように優しい顔してたんだと思うよ」


「そうだといいけどね…」


初めて分かった母親の偉大さに二人いつまでも酔いしれていた。












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