Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「……」
お兄ちゃんの部屋からは何も聞こえなかった。
こんな事言わなきゃ良かった…。
あたしったら何考えてるんだろうと自分の拳で何度も頭を叩いた。
早く冗談だと言ってこの沈黙から脱出しなきゃ…―。
「あのね、お兄ちゃん今のは……」
「麻里、おいで」
あたしの言葉を掻き消すかのようにお兄ちゃんの声が聞こえた。
「えっ…―。う、うん」
蚊の鳴くような声で返事をすると自分で言っておきながら金縛りに掛かったかのように体が動かない。
何を照れているんだ麻里!!お兄ちゃんじゃないか。しっかりしろと自分に喝を入れ固まった体をゆっくりと起こした。
ふぅぅ…
と、大きく深呼吸をして
お兄ちゃんとあたしの境界線である襖にゆっくりと手を添えた―…。