Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜


ドクン、ドクン―――。


心拍数の波が大きく揺れる。


境界線が開き徐々にお兄ちゃんの布団が目に入る。


そして、やがて視線は布団の中から見えるサラサラな黒髪へと映し、その隙間から見える耳たぶのホクロがお兄ちゃんがそこにいることを強調させ更に心拍数を高めた。


「早く来いよ!甘えん坊」


お兄ちゃんが布団の右側に大きな体を寄せて左側の布団を開いて呼んでいた。


襖の隙間から膝をついて立ったままのあたしは恐らくDVD鑑賞中に一時停止した画面とほぼ同じだろう―。


「来たよ…―」


やっとお兄ちゃんの枕元に辿りついたあたしは昔行った登山遠足の下山後より足が震えていた。


「冷えるから早く入りな」


「うん…」


お兄ちゃんとの微妙な距離を保ちながらゆっくりと体を入れた。


お兄ちゃんの香水の匂いがアロマテラピーのように心身をリラックスさせた。















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