先生の秘密は恋の予感
泣きすぎて胸が苦しい。


優しくされる事に慣れていないのだ。



「宗平、もう止めろ!佳奈実をよけいに苦しめてるぞ。
佳奈実はまだ気持ちに余裕が持てないんだよ。自分の思いにも気持ちにも素直に向き合えないんだ。佳奈実おいで、もう何も考えるなくていいから。」



私は本城から逃げて加東の腕の中に飛び込んだ。



本城に全てを見透かされそうで怖かった。



「加東、ごめん。」


加東の胸の中は暖かくて気持ちがいい。



「大丈夫か。今は何も考えるな。宗平は出て行ったから、
宗平は佳奈実を救いたくて必死なんだよ。」


うん、分かってるよ。



「加東、ありがとう。私は怖いの。私が私でなくなりそうで怖い。」


自分がどうしたいのか、何をしたいのか、分からなくなる。



「佳奈実、大丈夫だ。必ず時間が解決してくれる。俺もずっと誰にも心に触れてほしくなくて、逃げていたから、佳奈実の気持ちが分かる。だからもういいから。気持ちを落ち着かせると楽になるよ。」


分かっていても上手くいかない。



幸せがどんとん逃げてく気がするし。


幸せって何なんだ。


幸せの意味も分からなくなってると思う。


素直になれない自分が本当にいやだ。










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