いとしのかずん
「よし!」

意を決し、部屋を後にする。
気配を察知されないように、なぜか足音を忍ばせつつ、やがてものの数秒で敦美の部屋の前にたどりついた。


ーーコンコン

「はぁい!」

「あ、俺なんだけど……」

「巧? どうした?」

「あ、いやちょっと……あのさ」

なぜか戸惑い、言いよどむ俺、すると

「入れば?」

中から敦美の声がした。
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