俺の彼女
「せ、芹澤くん?」


愛梨の声にパッと体を離した

「ありがとう。」

愛梨は全身を真っ赤にして
それでも
さっきまでの不安な顔はなくて

嬉しそうに微笑んだ


「あ、うん…。
やればできるじゃん。」


愛梨を抱き締めていた手をもて余した俺は
慌て髪をいじるフリをした

「あ!
ねぇ…芹澤くん見て!」


突然愛梨が海を指した


促されてその先を見ると
燃えるような真っ赤な夕日が

ゆっくり水平線に沈もうとしていた


紫色に染まる空を茜色の光が照らす

水面は赤く輝いていた


「きれ―…い…。」


夕日を見つめて目を細目る愛梨の横顔は

ピンクと薄紫に染められて
俺は
今見た夕日よりも
綺麗だと思った
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