満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「もともと、この事件には興味があって、新聞なんかはよく読んでたんだけどさ。」

そこまで言うとイトーはニカッと笑って、声を潜めた。

「ここだけの話、俺の姉ちゃんがこの事件の担当の刑事でさ、チョコッチョコッと裏話を聞いてたんだよ。」

ヘェ~。

誠は素直に驚いていた。イトーに姉がいることも知らなかったが、その姉が刑事だなんて…。

弟がチャランポランだと姉がしっかりするというのか、姉がしっかりしていたから弟がチャランポランなのか…、どちらにしろイトーからは想像ができない。

それよりも…。

機密であるはずの捜査情報を担当刑事が弟にとはいえ流してるって話を被害者の孫の前でしていいのか?

ある意味、プライバシーの侵害だろ…。守秘義務違反か?

誠は千草の様子を見るため横をチラッと盗み見る。

千草は目を丸くして感心しているようだ。誠が心配したようなことは微塵も思っていないように見える。

まぁ、いっか。

「あっ、そうだ。」

イトーはパッと何か思い付いたように千草を見てニカッと笑った。

「一緒に捕まえない?」

「怪盗 glasses witchを」
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