満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑

2-Ⅳ

ズルズル、ズルズル、ズルズル、ズルズル。

誠と綾香は無言でラーメンをすすっていた。

ラーメン自体は麺は生麺で茹でるだけのタイプ、スープはお湯でとく液体のタイプ。

そこまではごくごく、普通のものであるが、その上にはイリゴマ、高く盛られた白髪葱、その上から熱したネギ油をかけてあり、大分凝っている。

…普通に旨いな。

ズルズル、ズルズル。

「ところで誠。なんか聞きたいことあったんじゃないの?」

綾香が口を開いたが、ラーメンを食べる手は止まっていない。

………食べながらでも…いいか。

「とりあえず、なんで盗みなんかやってるの?」

誠は箸を置いて綾香をジッと見た。

「ん~。」

ズルズル。

「なんでってねぇ。」

ズルズル。

…この人は真面目に話す気あんのか?

ズルズル。

「魔女になりたくてね。」

…やっぱり、真面目に答える気、無いな。

ハァ、と誠はため息を吐いた。

「綾香ネェ、こっちは真面目に質問してるんだけど?」

誠の顔には軽く呆れの表情が見て取れる。

「なによ。真面目に答えてるじゃない。」

ズルズル。
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