36.8℃の微熱。
その日の夢には王子が出てきた。
夢の中でも王子は王子のまま、優しくて頭がよくて癒しだった。
ただちょっと違うのは、あたし自身がそんな王子に少し物足りなさを感じていたこと。
夢の中で、王子とあたしは同じ大学に進んでいた。
それは憧れのキャンパスライフってヤツで、ユカちゃんもいて、ワイワイ過ごす穏やかな日々。
なんの不満もないし、新しい友だちもたくさんできて、サークルになんか入っちゃったりして。
でも、楽しいはずなのに、ふと気づくとなんとなく寂しくて。
もう塾に行かなくていいんだって思う反面、もう行けないんだ・・・・なんて思っている自分もいた。
その夢に“あれ? おかしいな”と思っているうちに目覚ましに起こされたあたし。
最初に浮かんだのは、昨日あんなにお世話になった王子じゃなく、どういうわけか先生の顔。
「うわー、目覚め最悪・・・・」
なんて言ってみても、先生の顔がなかなか消えてはくれなかった。
王子と先生・・・・全く違う2人なのにどうしてこんなにもあたしの心をかき乱すんだろう。