36.8℃の微熱。
 
そうなんだけど。

それはそうなんだけど、なんていうかなぁ、こう・・・・。


「う〜ん」

「う〜んじゃ分かんないって。なになに、どうしたのさ」

「うーん・・・・」


ユカちゃんは一生懸命話を聞いてくれようとしている。

でもあたしは、なかなかそれを言葉としてうまく伝えられない。

またあのときみたいに“もういーよ”ってなっちゃうのかな。

ああ、どうしよう・・・・。

そう焦れば焦るぶんだけ、どんどん言葉に詰まってしまった。


「あ。もう下駄箱だ」


そうして、何も話せないまま下駄箱に着いてしまったあたし。

ユカちゃんの声に顔を上げれば、そこは朝一番の混雑具合。

もうすぐホームルームの予鈴が鳴ることもあって、みんな急ぎ足で靴を履き変えていた。


「ごめんねユカちゃん。全然うまく話せなくて・・・・。こんなんじゃ意味分かんないよね」

「あはっ、まぁね。ぶっちゃけ全然分かんないわ。でもそれって、あたしが思うに“なんとなく”なんじゃない? 顔見たら案外普通かもしんないよ?」

「そう?」
 

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