36.8℃の微熱。
 
けれど、その晩───・・。


みんなが床に就き、熱帯夜の中でなんとか眠ろうとしているとき。

モゾモゾと動いてあたしの布団に潜り込んできたユカ様によって、お昼の“空耳”が本物だったと知るハメになってしまった。


「ねぇねぇ茜ちゃん、やっぱり茜ちゃんは先生だったんだね!」

「はっ? な、何が?」


ただでさえ暑苦しいのに近寄らないでほしいわ、ホント。

真っ暗でお互いの顔が見えないのをいいことに、あたしは思いっきり顔をしかめて身をよじった。

けれどユカ様は暑さをもろともせずに勝手気ままに言葉を続ける。


「んもぅ、すっとぼけちゃって。隠してないで教えてよ〜!で? どうなったの? つき合うの?」


いやいやいや。

すっとぼけるも何も、話の意味がよく分かりませんよユカ様。

そんなに立て続けに聞かれても、一体なんの話をしているんだか。

サトルさんの帰郷やバイト疲れなんかで頭おかしくなっちゃった? なんて思ってしまう。

すると。


「あたしには話せないワケ? 昼間告白してたじゃん、先生に!」
 

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