36.8℃の微熱。
 
なんだか胸がドキドキする。

なんだか体が熱っぽい。

競泳でもやっていたのか、逆三角形のスイマー体型が今だけ5割増しくらいにステキに見える。


あれ、おかしい。

今までなかったのに、なんでいきなりキュンって・・・・。


「どうなってんのよ」


胸に手を当ててみると、自分で思っていたよりもかなり早く心臓が動いていて、それにまず驚いた。

そして、目をそらそうとしても追ってしまう・・・・それにも驚いた。


ドキドキしたり目で追ってしまったり、そういうことが王子に対してあったかな、あたし。

キュンってしたことあったかな。

・・・・ううん、ない。


反発したり憎まれ口を叩いたり、庇ってみたり“ナイ”と言われて悔しくて泣いてみたり。

そういうのって全部・・・・。

ようやく分かった気がする。


「先生だから、だ」


先生だから、あたしは人一倍、余計に反応しちゃうんだ。









麦茶を飲むのも忘れて、あたしはしばらく、ゴミを拾う先生の広い背中を見つめていた。
 

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