36.8℃の微熱。

好きか嫌いか

 
―――
―――――
―――――――


「茜ちゃん!茜ちゃん!」

「ん〜・・・・」

「もうお昼だよ、起きてよっ!!」

「・・・・まだ寝るぅ〜」

「お・き・ろ!起きろったら!」

「ウソッ!? もうお昼!? ・・・・しまった!一食逃した!!」

「・・・・あのねぇ」


結局、日の出とともに寝たあたしはお昼まで起きなかったらしい。

ユカ様に叩き起こされて、やっとのことで目を覚ました。

眠い目をこすりながらユカ様を見ると、昨日のマリアンヌさんさながらの仁王立ち。

一瞬にして眠気が飛んだ。


「先生は起きるまで寝かしとけって言ってたけど、いくらなんでも寝すぎでしょ!」

「ハイ、スミマセン」

「暇だからって、先生、浜でボランティアだよ。いいの? 塾の先生にそんなことさせちゃって」

「ボランティア?」

「そう。店の商品を売ってくれてるの。あたしが見ただけでも、もう5回もナンパされながら」


そう言うと、ユカ様は“ほら”と窓の外を顎で指した。

あたしも急いで外を見てみる。
 

< 243 / 555 >

この作品をシェア

pagetop