36.8℃の微熱。
 
それに・・・・。

テンションを上げなければならないのには理由があって。


「ときに茜ちゃん、浅野君とはあれから連絡取れた?」

「ううん、それが全然で・・・・」


先生への気持ちに気づいた次の日に、会えないかと王子にメールを送ったのだけど。

返信もなくて、電話をかけても留守電に切り替わっちゃって。

王子と一切連絡が取れないまま、夏休みが終わってしまった。

こういう気まずい感じなものだから、あたしはユカ様が来るのを待っていた、というわけ。


「そっかぁ。席、隣だしねぇ」

「うん。一言目が浮かばなくて教室に入れないんだぁ・・・・」


どうしたもんかなぁ、と2人で教室の中をのぞいてみる。

ユカ様もあたしも、どう王子と接したらいいかさっぱりなのだ。


「あれ、普通?」

「・・・・に見えるけど」


ガヤガヤしている中で王子はいつものように文庫本を開いていた。

表向きは夏休み前と変わったところはないように見えたけど・・・・。


「やっぱ違うよ茜ちゃん。本、逆さまになってるもん」
 

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