36.8℃の微熱。
 
そう言って、あちゃ〜・・・・とおでこに手を置くユカ様。

王子、相当参っているみたい。

ユカ様に会ってテンションを上げてから教室へ!と考えていただけに、王子の見事なまでの動揺っぷりに胸が痛くなった。

やっぱり王子もあたしには会いにくいよね、うん、あたしもだよ。


「どうするよ、茜ちゃん」

「どうするって言われてもなぁ。もう担任の先生も来ちゃうし、腹を決めるしかなくない?」

「でも、なんて声かける?」

「“おはよう”って普通に?」

「「・・・・」」


顔を見合わせて、どでかいため息をつくあたしたち。

例のごとくユカ様には全部を話しているため、一緒になって悩んだり考えたりしてくれる。

けれど、MAXまで上がったテンションも“文庫本逆さま王子”でガタッと落ちてしまって・・・・。


困った、大いに困った。

このままだと教室に入れない。


───キーン コーン・・・・。


そうして悩んでいるうちにホームルームの予鈴が鳴ってしまって、タイムオーバー。

あたしたちは教室に入った。
 

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