36.8℃の微熱。
 
折りを見て、いつかは告白のリベンジを勧めた本当のワケを話さなきゃとは思うけど・・・・。

今日くらいはいいよね?

自分の力で得た幸せに変わりはないよ、ただ、サトルさんの気持ちを先生とあたしが先に知っていたというのは、ちょっと、ね。

そのカミングアウトの仕方によっては、ユカ様に嫌な思いをさせることになりかねないから。

慎重に、慎重に・・・・。


「───でね、家まで送ってくれるとき、サトルがなんにも言わないであたしの手を握って、ジャケットのポッケに入れてくれたの!キュンキュンしちゃった!」

「わぉ〜!! それで“こうしてたら寒くないだろ?”って?」

「そうそう!ベタな恋愛映画みたいだったけど、そういうのをしてくれるのがサトルなの♪」

「あたしもされたいぃ〜!!」


そんなのろけ話を聞きながら、中庭を過ぎて下駄箱へ向かう。

本音を言うと、このまま話さずにいられたらいいなって、そう思う自分も胸の中に少しいるんだ。

時間が経てば経つほど話しづらくなるのは分かってはいるけど、ユカ様の顔を見るとなかなか・・・・。
 

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