蝉時雨を追いかけて
ゲジがジャージのポケットから毛抜きを取り出し、右のまゆ毛を一本抜いた。
それを、ふーっと息で飛ばす。
おかっぱは素早く反応し、まゆ毛をキャッチすると、うれしそうに髪の中へまぎれこませた。
おまえは一体、なにをしている。
「おまえらっ、ダブルスで拓馬に勝とうとしているらしいなっ!」
「どうしてそれを?」
「拓馬に聞いたっ! それにっ、昨日の試合も観たっ!」
「そうですか」
意外だった。ゲジはあまり練習にはこない。
昨日もきていなかったはずなのだが、どこで観ていたのだろうか。
「私はなっ、おまえらを応援するっ!」
ゲジが今度は左のまゆ毛を一本抜いて、また吹き飛ばす。
おかっぱがそれに反応して、今度はうれしそうにまゆ毛へもぐりこませた。
意味がわからないし、完全なる能力の無駄遣いだ。
「おまえらの特性を考えればっ、たしかにダブルスの方が可能性があるっ!」
ゲジは、おれたちのことを見ていないようで見ていたんだ。
そうでなければ、特性なんてわからないはずだ。
……もしかしたら、適当に言ってるだけなのかもしれないが。
それを、ふーっと息で飛ばす。
おかっぱは素早く反応し、まゆ毛をキャッチすると、うれしそうに髪の中へまぎれこませた。
おまえは一体、なにをしている。
「おまえらっ、ダブルスで拓馬に勝とうとしているらしいなっ!」
「どうしてそれを?」
「拓馬に聞いたっ! それにっ、昨日の試合も観たっ!」
「そうですか」
意外だった。ゲジはあまり練習にはこない。
昨日もきていなかったはずなのだが、どこで観ていたのだろうか。
「私はなっ、おまえらを応援するっ!」
ゲジが今度は左のまゆ毛を一本抜いて、また吹き飛ばす。
おかっぱがそれに反応して、今度はうれしそうにまゆ毛へもぐりこませた。
意味がわからないし、完全なる能力の無駄遣いだ。
「おまえらの特性を考えればっ、たしかにダブルスの方が可能性があるっ!」
ゲジは、おれたちのことを見ていないようで見ていたんだ。
そうでなければ、特性なんてわからないはずだ。
……もしかしたら、適当に言ってるだけなのかもしれないが。