愛されて
その日から…
教室では綾への無視が始まった…

女子は綾のことを無視していたけど。
男子は相変わらず、綾のことをチヤホヤしていて。

それが、女子の綾へのイジメを助長させた。

「ねぇ、何か…今日、みんな変じゃなかった?」
部活の時。
綾が聞いた…

私は周囲に同じクラスの女子がいないことを確認して…
「そうかなーみんな、普通だったよね?」

話しを雪にふると。
雪も

「うん。普通だったよ。綾は転校してきたばかりだから、そう感じるんじゃない?」

と言った。

綾は敏感だなと思った。

それから…1週間後。
「今から…この前あった実力試験の結果を返します…」

大沢先生が言った…

出席番号順に名前が呼ばれて、結果表が渡されていく。

「樫木…」
私は結果表を受け取ると。自分の机の下でそっと広げた。

そこには…自分でも信じられないような結果がのっていた。

“学年順位−15番”
最低な成績だった。

この成績を持って帰れば怒られる…
私の頭の中は、そのことでいっぱいだった。

だから…綾が
「どうだった?」
と聞いてきたことにも気づいていなかった。

後で、聖が…
「遥香もやるね…」
と言ってきた時も。
意味が分からなかった。
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