愛されて
放課後。
私は…職員室に行った。
歩香先生は…
「こっち…」
と言って、私を保健室に連れて行った。

まさか!?
バレた…?

私はドキドキした。

保健室には…保健の先生がいた。
保健の先生と歩香先生は仲がよい。

「座って…」
私は椅子に座った。

歩香先生が…私の左手をとった。
そこには…井上先生からつけられた傷跡。

「どうしたの?この傷?」
歩香先生が聞いた。
歩香先生は少し、怒っていた。

「自分で切ったの?」

私は首を振った。

「じゃあ、誰が?」
保健の先生が聞いた。

「井上先生…」
私は言った…

言わないつもりだった。
絶対に言ってはいけないと思っていた。


だけど。
歩香先生の心配そうな顔を見ていたら…
黙っていられなかった。

「井上先生って…あの、家庭教師の?」
私は頷いた。

「ひどい」

「どうして?」
歩香先生が聞いた…

「私が…井上先生が出してくれた問題を何回も間違うから…」

歩香先生と保健の先生が顔を見合わせた。

そして。
不意に…保健の先生が袖をめくった。
肩の近くには…火傷の跡。

「これも…?」

「うん…」

「タバコを押しつけられたの?」

「うん…」

「歩。これはひどいよ。遥香さんのお母さんに言って、家庭教師をかえてもらったら…?」

「そうだね…」

歩香先生と保健の先生が話していた。

「そんなこと、できないよ。私が…勉強ができないからいけないんだよ。先生は悪くないよ…」
私は言った…

ママに言っても。
絶対に…信じてもらえないし、私が悪いからって言われる。

「遥香…これは大事なことなの。遥香がこんなに傷つけられているのに、歩ちゃんは黙っていられない。もし…愛香がこんな事されたら…歩ちゃんは相手のこと殴りたいって思う。きっと、由香だって同じだよ…」
歩香先生が私を抱きしめて言った。
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