愛されて
洋平は自分が父親とばらされたら困るのか。
私の妊娠のことは本当に誰にも話さなかった。

そして。
私の噂も、すぐにおさまった。

みんな、それどころじゃなくなったのだ。

12月の中旬。
期末試験の結果をもとに最終的に志望校を決める三者面談が行われた。

「樫木さんは…最近頑張っていますね。期末試験の成績も5番以内だったですし…」

大沢先生の言葉にママの顔がほころんだ。

「第1志望は女子大付属高校でよろしいですか?他に私立や県立は受験されますか?」

「一応、県立の桜ヶ丘高校を受験させようかと思っています…」

桜ヶ丘高校も…
私たちの地区ではレベルが高い高校で。

「今のまま頑張ってもらえれば、女子大付属も桜ヶ丘も大丈夫でしょう…」

大沢先生はそう言って、ママに通知表を渡した。
通知表には…5が並んでいた。

ママは何も言わなかった。

あれから。
怒られることもなくなったけれど…
ほめられることもない。

私が家で話せる言葉は
「おはよう」
とか。
「ただいま」
とかの挨拶のみ…
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