愛されて

部活を終えて…雪達と別れて。
1人で帰っている時だった…


「遥香…」

声がした。
振り向くと…洋平が後ろに立っていた。

「よぉ！久しぶり…」
「うん…」

洋平とは幼なじみ。
中学1年の頃は同じクラスだったのに…
2年のクラス替えで別のクラスになった。

「あのさ、遥香達のクラスに転校生来ただろう？」

「綾でしょう？」

「名前は分からないけれど、キレイな子…」

洋平はクラスの話題とかに…
少々、うといところがある。

「綾だよ…」

「男子陸上部の子がその子に告白したらしいんだ…」

初耳だった…

洋平は男子陸上部。
短距離の選手。


昨日の放課後。
綾は陸上部の男の子から告白された…

告白した子は…
お世辞にも“イケメン”だとは言えない子で。

綾は…
「あんた、自分の顔を鏡で見たことある？」
と言った。

「あんた、そんなブサイクな顔で…よく私に告白できるわね…」

綾が言った一言は…
その人を傷つけた。


「そいつさ、そんな事言われるとは思ってなかったみたいで…今日も、“死にたい”って言っていたんだ…こんな顔で大人になるまで生きたくないとか言って…」

振られた子は精神的に
大きなショックを受けていた。

「そいつが元気になるためには…綾に謝ってもらうしかないから…遥香の方から綾に話しかけてくれない？」

友だち想いの洋平らしいお願いだった。

だけど…
「えっ!?何で…私が？」

「だって…お前と同じクラスなんだろう？」

「あのね、同じクラスといっても仲がよくないから…そんな話しできないよ…」
私は言った。