愛されて
分娩室の外が騒ぎになっているのも知らないで。

私は…分娩台の上で
「もう…イヤだ!!いったぁーい」
とわめいていた。

全身、汗びっしょりだった。

「何言っているの。赤ちゃんだって頑張っているんだよ…」

看護士さんにそう言われた。

赤ちゃんも頑張っている!?

「赤ちゃんだってつらいんだよ…ママがあきらめたら赤ちゃん生まれてこれなくなるんだよ…だから、頑張って…」
看護士さんが私の額の汗を拭きながら言った。

そう言われても…
もう…無理だと思った。
全身が痛かった…

「樫木さん。次の陣痛がきたらいきんでね…赤ちゃん、そこまできているから…」
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