ろく


「お嬢ちゃん。ちっと歩かねえかい?」


しかも、誘われてるし。

私は無性に腹が立ってきた。

だが、進む方向が一緒ならば仕方がない。

たぶん、追い払ったとしてもまた出てくるだろう。


「お嬢ちゃん。お前さん、近所の「人」かい?」

−いえ……違いますけど……なぜ?

「そのお前さんの着てるの。そう、それ! 下着だろ?」


猫は私の着ているノースリーブのワンピースを顎でしゃくりながら言う。


−これは……普通の服だと認識しておりますが……?

「あ? ……破廉恥だねぇ! まったく、最近の若い奴は! 昔はな、こう、何というか、もっと着崩すにしたって品ってもんがあったんだぜ? それを何だい! そのすカすカの服は! お嬢ちゃんの薄っぺらいもん丸出しじゃねえか!」


うるさい。

お前だってしりの穴丸出しじゃねーか。
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