ろく

私たちは些細なことでケンカした。

いや、些細なことではなくなってしまったから、現在の状況になってしまったんだろう。

最初は私の何気ない彼氏自慢の一言が発端だった。

私たちは社内恋愛している。

最近、彼とはどう?

仲良くもないクソ女にそう言われた。

社内につきあってることは隠してなかったし、やましいことがないと思ってた私は、堂々とその女に航太がいかに紳士的で素敵かを語った。

これがマズかった。

仕事にも恋愛にも真摯な姿勢の航太。

残業の可能性がある時には曖昧なデートの約束もしない。

ミスすれば他の人と同じかそれ以上に怒られる。

だからこそ、私たちは社内恋愛してることを隠す必要はなかったし、誰にも迷惑は掛けていないつもりだった。

だけど、それがすべて逆に伝わった。

あのクソ女のせいで。

クソ女もムカツクがそれを信じてしまった航太。

怒ってしまったこともショックだったが、自分たちの信頼関係がこの程度のものだったのかと、そっちのほうがショックだった。
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