ママのスキャンダル！
「いいから聞きなさい。彼女―――ステイシーは、命を狙われていたんだよ」

フレッドさんの言葉に、ソフィアは一瞬呆気に取られ、目を見開いた。

「―――命を？」

「ああ。その時わたしの会社はある会社と業績を争っていてね。新しく開発した商品の発売に向けて慎重に事を進めていた時期だった。その時―――その会社のある人物から新商品の情報を売って欲しいという要求があったんだ。もちろんそんな話は断った。だが―――もし売らないのなら、わたしの会社の社員を―――ステイシーの命をもらうと。そう言ってきたんだ」

フレッドさんは苦々しそうにそう言いながら、首を振った。

「その新商品は―――画期的な今までにないもので、わたしたちはそれに社運をかけていた。その情報を、敵に売れるわけがない。だが―――そのために人1人の命を犠牲にすることもできない。悩んだ挙句―――わたしは、いつも彼女の傍にいて、彼女を守ろうと決めたんだ。もちろん数人の幹部と、アニーには事情を説明したよ。だが本人には黙っていた。余計な恐怖感を与えるのはよくないと―――そう思ったんだ。しかし―――それが間違いだった」

「彼女が―――誤解したのね」

ソフィアの言葉に、フレッドさんが頷いた。

「何も知らない彼女は―――わたしが、彼女に気があるのだと思ってしまった。まるで恋人のように振舞いだして―――やはり事情を説明すべきかと思いだした頃―――彼女が、うちへやってきたんだ」

ソフィアが目を伏せ、俯いた。

「―――覚えてるわ。突然家に上がり込んで来て―――『社長と別れて！』ってママに。そして殴りかかって―――すごく怖かった」

ソフィアのお母さん、アニーさんがソフィアの肩を優しく抱いた。

「ごめんなさい。あなたには―――いやな思いをさせてしまったわ」
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