最後の恋はアナタの隣で
「……」

驚いた私はポカンと口を開けたまま――セダンの運転手である春樹さんを見つめた。


「どうした? 遅かったから怒ってるのか?」

私の心中を察する事が出来ないらしい春樹さんが、的外れな事を真顔で言ってのける。


「いや、そうじゃなくて……」

「俺がスウェットだから嫌なのか? 急いでたからそのままで来たんだけど」

「いや、そういう事でもなくて……」

「髪の毛がボサボサだからか? ちょっと待てよ。すぐに直す」

「いや、だから違うってば!」

金色の髪の毛を手ぐしで整える鈍感な春樹さんに、思わず笑ってしまった。


「違うのか? 何かよく分からねぇけど早く乗りな。ここ邪魔になるから」
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