最後の恋はアナタの隣で
だけど、土曜日のお勉強会で雑炊を食べてる時に「危ないからタクシーに乗ってね」と千秋に言われ、乗らざるを得なくなった。


タクシー代は全て――千秋持ち。


働いた分のお金を全額貯金してるから、それを使いたいって言ったけど、その意見は拒否された。


春樹さんの家の近くにある交通量の多い道路に出て、タクシーを捕まえて千秋のお店に行くまでに掛かる料金は、千円少し。


それなのに千秋は、六日分のタクシー代として、嫌がる私に一万円札を無理矢理握らせた。


余った分で自分の好きな物を買えばいい。その代わり、春樹には内緒ね――と付け加えて。


千秋が何でそこまでしてくれるのかは分からなかったけど、私は渋々お礼を言って、千秋の優しさに甘えた。
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